<< 高浜寛と幻 | main | 外野の短歌中継:第1回 表面に〈さとなか歯科〉と刻まれて水星軌道を漂うやかん >>

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    短歌こわい

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       短歌を始めて2ヶ月経つ。
       かなり濃密な2ヶ月だった。プライベートでも超ビッグイベントがあったのと相まって、すでに1年生きたような心持ちである。
       これを書いている時点で、Twitterに流した短歌は94首あった。アップしていないものも多少ある。極度に飽きっぽい自分にしては、ずいぶんまともに続いている。今のところ枯れる気配もない。
       ただ、始めた直後と比べて、少しずつ意識が変わりつつある。
       短歌に「恐ろしさ」を感じるようになってきたのだ。

       歌集や歌論などを少しずつ読み始めてうすうすわかってきたのは、短歌は絶対的に「私」が出発点となること、そしてそれに嘘をつけないということだった。
       それは別に自分の生活そのものをリアリスティックに歌わなければいけないということではなく、そのときの「私」の心情、環境、価値観、その他「私」を構成しその歌を生み出した土壌を偽ってはならない、ということらしい。
       小説とはやはりそこが大きく違う。
       小説はむしろ、嘘をつかなければならない。「私」を物語という嘘、ノイズで歪めなければならない。その歪み、迂回こそが小説の魅力だ。その上で、ノイズまみれで見えなくなった「私」の断片が物語のすきまからこぼれていく。
       短歌は、その物語という嘘が向いていない表現形式だ。「私」というものをひとさじ切り取るにあたって、ノイズが混じっていたらそれは「私」ではなく単なるノイズになってしまう。
       もともと自己韜晦癖が強いほうだが、短歌はそんなものを許してはくれない。おまえの断片を、おまえが世界をどう見ているかをここに見せてみろ、と迫ってくる。
       裸で寒空の下に放り出されるような心細さだ。隠れる場所などない。まったくもって恐ろしいもんである。
       でも、やってみるとそれが意外にも心地よかったりするのが不思議だ。

       それに、今短歌をやることの大きな意義として、「私」というものの捉え方が今ちょうど変化しつつある時代である、ということを思う。
      「私」という存在が自分自身とイコールだった時代から、前衛短歌の時代を経て「私」を虚構化する動きが現れたりしたそうなのだけど、今はインターネットの普及などによってそもそもその「私」が虚構化どころかあらゆる形で分裂・偏在しているようにも思えて、だからこそそれを短歌として抽出するのが面白い。

       しかしこれから、どういう形で短歌を発表していくのがいいのかは未だによくわからない。
       新聞や雑誌に投稿してみたり、結社に入って歌会に顔を出したりしている自分がどうにも想像がつかない。
       というか、始めたのも遅く他ジャンルから流れてきた自分は、最終的に「短歌の人」になれないような気がしている。
       当分はこのままネット上でひたすら作歌していくことになるんだろうけども、自分のレベルが上がっているのか、いい歌を作れているのかが正直よくわからなくて、それがたまにわびしい。
       Twitterでふぁぼられるのはもちろんとても嬉しいんだけど、気に入られる短歌のタイプもある程度かたよっているように思えるので、「ふぁぼられやすい短歌」に流れたくないという気持ちもけっこう強くなってきている。
       ただ、短歌タグをまとめたTwitterのログをつぶやいたときに、おれが短歌を始めるきっかけとなった『桜前線開架宣言』の山田航さんがお気に入りにいれてくれたときは、とても嬉しかった。少しだけあの本に恩返しができているようで。
       変な言い方だけども、短歌には「恩」がある、という気持ちが強い。今後もその恩を受け続け、同時並行で恩返しをし続けていければいいなと思う。

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